三越日本橋本店では歳暮商戦の決起セレモニーが開かれた(29日、東京都中央区)

三越伊勢丹の三越日本橋本店(東京・中央)は29日、歳暮商品などを実演販売する区画を設けたギフトセンターを開いた。11月半ばにかけて百貨店各社が店頭に特設エリアを設ける。歳暮は自分向けの購入も増えており、各社が需要取り込みのため工夫をこらす。

三越日本橋本店の7階に開いたギフトセンターにイートイン区画を設け、初週は仏ブランドワインを提供する。11月5〜10日にはフィナンシェのパフェ(880円)やラザニアとビーフシチューのプレート(1650円)などを実演販売する。担当者は「商品の味を知ってもらい、贈答用や自分用への購入を促進したい」と語る。

三越日本橋本店7階のイートインスペースではワインの試飲ができる(29日、東京都中央区)

顧客アンケートで健康を意識した食への関心が高かったのを踏まえ、山形県の赤根ほうれん草を使ったグラタンセット(5940円)など伝統野菜を使った商品を打ち出す。規格外の野菜を使ったパイ(3240円)などフードロスに配慮したギフトも販売する。今年で10年目となる東京国立博物館とのコラボ商品も取りそろえた。

大丸松坂屋百貨店では10月8日から電子商取引(EC)で歳暮の受注を始め、店頭注文は11月1日から受け付ける。目玉の一つが「東京ばな奈」などを手掛けるグレープストーン(東京・中央)と共同開発した菓子ブランド「BLUE POND」のキャラメルミルクサンドだ。北海道の生乳で作ったキャラメルソースをホワイトショコラで包んだ。近く販売予定数量に達する見込みという。

大丸松坂屋の新ブランド「BLUE POND」のキャラメルクリスピー

カジュアルな贈り物や自分向けギフトを集めた企画「GOHOUBI」ではレンジ調理で手間のかからない、ご飯ものをそろえた。高知県の産品を使う独自ブランド「星と南風(かぜ)」からは、同県の地鶏の卵を使った新商品のカヌレ(送料込み5千円)を販売する。

そごう・西武の西武池袋本店(東京・豊島)では11月7日から店頭受注を始める。アマダイの味噌仕立て鍋(同1万6200円)や、うなぎのかば焼きのカット(同5400円)をそろえる。

中元・歳暮は得意先などに贈る習慣が薄れている一方、自家需要は旺盛だ。大丸松坂屋ではGOHOUBIの品ぞろえを24年から10商品増やした。担当者は「今後3年ほどで歳暮売上高に占める自分用ギフトの割合を10%に高めたい」と語る。

購入手段のECシフトも目立つ。大丸松坂屋では、直近の中元・歳暮のEC販売シェアが43%にのぼる。10月7日に始まった三越のEC売上高も前年比5%増と好調だ。

アサヒグループホールディングス(GHD)がサイバー攻撃を受け、ビールを中心とした同社飲料の歳暮販売での受注を中止する動きが出ている。三越の担当者は「影響の大きさは未定だが、飲料各社の販売可能なアイテムに絞って提供しており、安定供給を見込む」と話す。

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