 
      千葉発祥のすしチェーン「銚子丸」は2023年に回転レーンを廃止し、客が端末で注文する方式に変更した。職人が握るすしで、単価の安い大手の回転ずしと一線を画す。銚子丸の石井憲社長にすしチェーン業界の競争に生き残る戦略を聞いた。【高橋晃一】
――11月1日に60以上の店舗で同時にマグロの解体ショーを行い、ギネス記録に挑むそうですね。
◆解体ショーはお客様に喜ばれるイベントとしてやってきました。銚子丸の強みは、価格均一の回転ずしと違って職人がすべての店にいて鮮魚を店でさばき、すしを握ること。人材力や技術力のアピールになると思い、ギネス記録に挑戦します。
――仕入れにもこだわりがあるのですか。
◆うちのサーモンの売りは生のまま一度も冷凍していないことで、ノルウェーから空路で来ます。生だときれいに輝いていて、口に入れるとみずみずしい食感です。身質のプリプリ感が冷凍のものと全然違います。
――23年に回転レーンを廃止しました。
◆今のところ復活の予定はありません。
タッチパネルから注文していただくようになり、何が何個売れたか分かるようになりました。今までは食べた後に、これは赤い皿だから150円とわかるけど、何を食べたかは分からなかったのです。また、すしが(回転レーンを)何周もして乾いたから捨てるということがなくなり、フードロス対策になりました。
――今のすし業界をどのように見ていますか。
 
      ◆日本は人口減少や高齢化で胃袋の総量が減るかもしれず、競争の時代が始まっています。勝ち残るにはうちの特徴を生かして、ファンを獲得して囲い込んでいくことです。
(回転ずしチェーン大手の)スシローは600店舗くらいありますが、「銚子丸も5年後に600店舗」と言うつもりはない。おいしくて、会話も弾んで、お金もかかるかもしれないけど銚子丸に食べに行こうという選択肢にならないといけないです。
――課題はありますか。
◆悩みはコメなどの値段が上がっていることです。企業努力で無駄なものがあれば削りますが、万策が尽き果てたら申し訳ないけど値上げをさせていただく。それでもお客様の納得いくような外食モデルを作らないといけないですね。
銚子丸
1998年に1号店を千葉県市川市でオープンし、現在は首都圏で92店舗を展開するすしチェーン。運営会社「銚子丸」(本社・千葉市美浜区)は東証スタンダード上場。回転ずし店で客による迷惑行為が相次いだことを受け、2023年4月に全店で回転レーンを廃止し、タッチパネルで注文するシステムを採用した。
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