日本生活協同組合連合会の新井ちとせ会長(右)から「米よこせ母子像」の説明を受ける鈴木憲和農相=東京都渋谷区のコーププラザで2025年11月4日午前11時32分、中津川甫撮影

 国内最大の消費者組織「日本生活協同組合連合会」(日生協)の新井ちとせ会長は4日、東京都渋谷区内で鈴木憲和農相と会談し、昨年来のコメ不足や米価高騰などを巡って意見交換した。高止まりしているコメ価格について消費者の不満が高まっているが、農水省によると、日生協側から政府の対応などに強い不満の表明はなく、会談は「和やかに終わった」という。

 冒頭で鈴木氏は「『ぶっちゃけ現場こうですよ』とか、会員の皆さまは『こういう声が多いよ』とか、細かく(意見を)いただきながら政策を進めていきたい」とあいさつ。新井氏は「今回の物価高騰、コメ価格問題について、少し意見交換ができたら」と応じた。

 冒頭のあいさつ以外は非公開で行われた。会談後、農水省食品安全政策課の藤田佳代・食品安全危機管理官が記者団の取材に応じ、コメなど食品の高騰対策に関して両者で協力していく関係を確認したという。会談は「和やかに終わり、非常にいい感じで進んだ」と説明した。

会談する日本生活協同組合連合会の新井ちとせ会長(手前右)と鈴木憲和農相=東京都渋谷区のコーププラザで2025年11月4日午前11時35分、中津川甫撮影

 ただ、鈴木氏が米価高騰対策として持論に掲げる自治体による「おこめ券」の配布について意見交換したかどうかは明言せず、「事前の約束」で公開した冒頭以外、具体的な内容は明らかにしなかった。

 会談に先立ち、日生協側は面会場所となった同区のコーププラザ内にある「米よこせ母子像」を鈴木氏に案内。1932(昭和7)年の「米よこせ運動」で飢えた子を背負い、役所の階段を駆け上がる主婦の像を紹介し、改めてコメ政策について行政の責任の重さなどを暗に伝えていた。【中津川甫】

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