チルダインは冷却液でサーバーを冷やす「液冷」技術を持つ(チルダインのホームページ)

ダイキン工業は5日、米子会社を通じてデータセンター内のサーバーを液体で冷やす「液冷」方式の技術を持つ米チルダイン(カリフォルニア州)を買収したと発表した。人工知能(AI)に使う画像処理半導体(GPU)の発熱を抑えるためデータセンターの冷却需要は高まってきた。ダイキンは空気で冷却する「空冷」方式を手掛けているが、液冷も加えて市場を開拓する。

チルダインは2011年の創業で、サーバー内のチップを冷却するシステムを開発した。冷却液を流すことで冷やした板状のプレートをGPUなどのチップに取り付ける方式だ。従来の液冷方式で課題だった液漏れがしにくい構造だという。ダイキンは買収金額を非公開としている。

ダイキンはデータセンターのサーバー冷却関連の需要を取り込むため、M&A(合併・買収)を繰り返してきた。2007年には米マッケイ・インターナショナルを傘下に持つマレーシアのOYLインダストリーズを約2400億円で買収し、データセンター向けにも提供する大型空調「アプライド」の本格展開を始めた。

アプライドの中でも冷やした空気を送る「エアハン」を強化するため、23年にはエアハンに強い米アライアンスエアープロダクツ(カリフォルニア州)を含む2社を約300億円で傘下に収めた。さらに8月にはサーバーを積んだラック単位で個別に空調する技術を持つ米ダイナミック・データ・センターズ・ソリューションズ(カリフォルニア州)を買収した。

これまでのM&Aは空冷に関する企業ばかりだったが、今後AIデータセンターには必須になるとされる液冷方式の技術や製品をどのように獲得するかが焦点になっていた。チルダインの買収によって空冷と液冷を組み合わせたデータセンターの冷却システムを提供できるようになる。

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