詐欺の典型的な手口も学んだ(6日、山形市)

日本銀行と山形県警察本部は6日、東北文教大学山形城北高校(山形市)の2年生を対象に共同でオンライン授業を実施した。詐欺にあわないための対策を含め、お金との付き合い方を早くから学ぶ機会を提供した。全国でも珍しい取り組みに、10クラス・約370人の生徒が熱心に耳を傾けた。

水庭誠一郎・県警本部長は県内の特殊詐欺などの被害額が1〜9月で7億円を超えたことに言及。詐欺や闇バイト募集の典型例を示し、どう警戒すべきかを伝えた。変なやりとりになったら連絡を止めて警察を含めて信頼できる人に相談することや、ネットやSNS(交流サイト)に送った情報をもとに脅されるリスクがあることも教えた。

「お金との付き合い方は必要不可欠な生活スキル」であることも学んだ(6日、山形市)

日銀は川村憲章・山形事務所長が山形県は人口が減っても県内総生産が増えていると指摘。人生では住宅、教育、老後に多額な費用が必要なことも伝えた。

日銀本店の講師も参加し、金融システムの安定確保や物価安定のための金融政策など中央銀行の役割を教えた。生徒は重要文化財である日銀本店本館もリモートで見学。現在の山形県南陽市出身の結城豊太郎が15代総裁を務め、執務に用いた椅子と机が残っていることも知った。

授業を終え、記念写真に納まる生徒ら関係者。前列左から2人目が川村・日銀山形事務所長、同3人目が水庭・山形県警本部長(6日、山形市)

金融広報中央委員会の「金融リテラシー調査」(2022年)で、山形県は金融トラブル経験者の割合が11.9%と、全国平均(7.3%)を大きく上回った。半面、「金融教育を受けた」と認識している人は5.5%と、全国平均(7.1%)を下回った。

川村氏は「そうした地域課題の解決に貢献したいと今回の授業を企画した」と説明。「お金との付き合い方を身につけ、トラブル回避と金融面の幸福につなげてほしい」と話した。水庭氏は「らしくない組み合わせの授業だったが、お金やネット・SNSの安全安心を考える機会になれば」と言葉に力を込めた。

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