会談したトランプ米大統領(右)とハンガリーのオルバン首相=ワシントンのホワイトハウスで2025年11月7日、ロイター

 トランプ米大統領は7日、ハンガリーのオルバン首相とホワイトハウスで会談し、ロシアが侵攻を続けるウクライナ情勢に関して協議した。トランプ氏は会談の冒頭で、米側が対露制裁の一環として求めている露産原油の購入停止について、ハンガリーを適用除外とすることを検討していると明らかにした。

 ロイター通信は米政府当局者の話として、ハンガリーが1年間、露産エネルギーを利用できるよう制裁から除外されると報じた。

 ロシアとウクライナの戦争終結の仲介をしてきた米政権は、停戦に消極的なロシアの戦費調達に打撃を与えるため、欧州に対して露産原油の購入を停止するよう要求。10月22日にはロシアの石油大手2社を制裁対象とすると発表した。

 オルバン氏はトランプ氏に加え、プーチン露大統領とも良好な関係にある。ウクライナを支援する欧州の中にありながら、ウクライナを度々批判するなど、そのロシア寄りの姿勢が際立ってきた。オルバン氏はハンガリーが内陸国であることなどを理由に、露産エネルギーに頼らざるを得ないと主張し、トランプ氏に適用の除外を求めている。

 トランプ氏は会談で、「(ハンガリーが)他の地域から石油やガスを入手するのは非常に難しい。彼らは海に面していない」と述べ、オルバン氏の主張に一定の理解を示した。また、米露が10月に開催で合意しながら見送りになっている対面での首脳会談に関して、実現する場合は当初の予定通りハンガリーが開催地になる可能性が高いとの見方を示した。

 また、オルバン氏は戦争終結を巡り、「問題は我々、西側諸国が結束しているかどうかで、我々は結束できていない。和平を推進している政府は米国とハンガリーだけだ。他のすべての政府は戦争の継続を望んでいる。なぜなら、多くの国がウクライナが前線で勝てると信じているからだ」と持論を展開した。

 これに対してトランプ氏が「あなたはウクライナが戦争に勝てないと考えているということか」と向けると、オルバン氏は「奇跡」に言及しつつ、明言はしなかった。その上で、戦争終結に向けた「いくつかのアイデアがある。トランプ氏にそれを提示する」とも語った。【ワシントン松井聡】

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