
【ニューヨーク=佐藤璃子】米クレジットカード大手のビザとマスターカードが、加盟店に課す決済手数料を5年間にわたり0.1%引き下げることで、裁判で争っていた加盟店側と合意したことが10日分かった。裁判所がこの和解案を承認すれば、20年にわたる加盟店との法廷闘争が決着することになる。
米証券取引委員会(SEC)に10日提出された資料で、明らかになった。
和解したのは、消費者がカードで決済した際に小売店などが支払う加盟店手数料。米加盟店決済連合によるとビザとマスターの平均手数料は決済額の2.35%とされ、年々上昇している。決済ネットワークを提供する両社などの国際ブランドやカード発行会社などで分配している。
両社のクレジットカードの手数料を巡っては、2005年に一部の加盟店が反トラスト法(独占禁止法)に抵触するとして集団訴訟を起こして以来、争われてきた。
和解案が発効するには、ニューヨーク州東部地区連邦地方裁判所の承認を得る必要がある。承認するかを判断するのは26年末から27年初頭になる可能性が高い。米国発行のカードが米加盟店で利用される場合のみ適用される。
24年にも加盟店の約300億ドル(約4兆6000億円)の節減を目指す和解案で合意したが、最終的に裁判所の承認を得られず再交渉していた。今回の合意では、裁判所の承認を得られるように、前回よりも手数料率の引き下げ幅を大きくした。
これまで加盟店はビザやマスターが提供するすべてのカードを受け入れなければいけなかった。今回の和解案が通れば、法人向けや消費者向けカードなどの区分ごとで受け入れを選択できるようになる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、これにより小売店は手数料が高いカードでの決済を受け入れなくなる可能性があると指摘した。
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