AIとの対話がサービスの起点となる

三菱UFJフィナンシャル・グループは12日、自社のアプリと米オープンAIの対話型AI「Chat(チャット)GPT」を連携させると発表した。利用者はチャットGPTと銀行のアプリをつなぎ、対話の中で家計や資産活用のアドバイスを得られるようになる。

オープンAIが米国で10月に始めた新機能で、三菱UFJによると、導入を決めた日本企業は同社が初めてという。チャットGPTが入り口となって複数の外部アプリと接続するスーパーアプリ構想に加わる。AIとの対話がサービスの起点になる仕組みが日本で広がる可能性がある。

2026年度中の接続を目指す。チャットGPTで「家計管理をしたい」と入力すると、三菱UFJ銀行のアプリを認証したうえで銀行の入出金や振り込みデータを分析した収支をグラフで可視化する。余剰資金の活用についても助言する。

チャット上での会話履歴をAIが学習し、複雑な質問にも回答できるようにする。従来は一般的な質問に答える「チャットボット」を使ってきたが定型的なやり取りが多く、顧客に家計管理の提案などはできなかった。

三菱UFJとの連携イメージ

三菱UFJは銀行アプリだけでなくグループ各社のアプリ、26年度後半の開業を目指すデジタルバンクにもチャットGPTを連携させる見込み。住所変更やサービスの申し込みは従来通り銀行アプリで手続きする。チャットGPT上で商品の検索から購入まで完結するサービスでは、MUFGカードや三菱UFJなどがてがけるQRコード決済を使えるようにする。

オープンAIは10月、チャットGPTと他社アプリを連携させる新サービスを米国で始めた。チャットGPTと様々な外部アプリを結ぶスーパーアプリ構想を描く。海外では音楽配信のスポティファイや宿泊予約のブッキングドットコムとの連携を決めた。

日本では現状利用できないが、オープンAIが今後日本でもサービスを始めることを検討している。オープンAIジャパン(東京・港)の長崎忠雄社長は「一日も早く日本で実現したい」と話す。

記者会見で握手する三菱UFJフィナンシャル・グループの山本忠司執行役常務(左)とオープンAIジャパンの長崎忠雄社長(12日、東京都港区)

チャットGPTと外部アプリとの連携は、利用者とサービスの接点を大きく変えそうだ。三菱UFJの個人預金の口座数は約3400万ある。利用者が支店を訪れたり銀行アプリを開いたりするのではなく、AIとの対話から銀行取引につながる新たな商流を生む可能性がある。三菱UFJの山本忠司執行役常務は「顧客とのタッチポイントが劇的に改善、拡大することを期待したい」と述べた。

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