国際NGOのセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2025年8月、同団体の新入学給付金を利用した困窮世帯を対象に教育に関わる費用の実態を調査。中高生148人、保護者436人から回答を得た。

中学・高校への入学にかかった費用項目のうち、突出して高額なのが「制服」だ。中学は平均6万4656円、高校は平均8万621円で、いずれも前年から約1万円上昇。ほかに「自転車」4万円超、「運動着」「指定品類」各2万円超で、これらも入学時の出費を押し上げる要因になっているとみられる。

デジタル学習の推進により、公立高校の5割、私立高校の6割で入学時にパソコンやタブレットの私費負担が必要とされ、その額は平均7万9657円。多くの場合、学校側から機種指定され、廉価のものを選択する余地が限られることが負担を重くしている。

入学に際して必要な支援として、中高生・保護者とも約7割が「制服・運動着などを安く買える、買わなくて済むようにする」を挙げた。「教科書などは学校が用意する」「学校指定品をなくす」を求める声も多かった。

「高校の義務教育化」7割が希望

約7割の中高生・保護者が高校の義務教育化を望んでおり、その理由としては「ほとんどの子が進学する」「高卒でないと就職に不利」が多かった。

自由記述では、「最低限の学費や食費以外すべてを我慢するしかない。将来、自分の子どもに同じ思いをさせたくないので、子どもは産みたくない」(東京都・高1)といった悲壮な声も寄せられた。

政府は高校授業料の実質無償化を2026年度から開始する予定だが、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、困窮世帯の子の“学ぶ権利”を保障するため「授業料以外の費用に対する経済的支援の拡充」「学用品の備品化、購入品の選択肢の拡大」が必要としている。

【資料】

  • セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「経済的に困難な子育て世帯の 中学・高校の就学費用負担に関する実態調査報告書」

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