埼玉県入間市は、同市狭山台に新設する市営公園予定地内に、スーパー「ベルク」(本社・鶴ケ島市)などが入居する商業施設を造る計画を発表した。2028年3月ごろ営業を始める予定で、年間120万人の来場を見込む。公園の開園も同時期となる予定。スーパー建屋の屋上が公園になる造りで、全国的にも珍しいという。どんな背景があるのか。
入間市は、同市狭山台に新設する市営公園予定地は面積約2万1500平方メートルで、住宅や倉庫などが並ぶ一画にある。市は2016年、この地に公園を造る計画を決め、周辺の区画整理事業で地権者からこの土地の提供を受けた。
しかし4億~5億円と見積もられた公園建設費が財政難で出せず、土地が未利用のままだった。一方、近くにあったスーパーが22年に撤退。代わりの店がほしいとの声が近隣住民から出ていた。
そこで市は公園を安く造るため、国土交通省の制度を利用することにした。この制度では、公園内に民間事業者の施設を造り、その事業者に公園の建設費を一部負担してもらう。残りの建設費は市が負担するが、その約半額を、同省が補助金で肩代わりする。
市はこの民間施設をスーパーにしようと考えた。ただし制度上、民間施設の面積は公園全体の12%以下に制限される。大型スーパーは造りにくい。
このため、都市公園法に基づく「立体都市公園制度」も活用することにした。この制度では、民間施設の屋上を公園にすれば、下の施設は面積制限の適用外になる。同様の方式で公園にスーパーを造るのは、大分県別府市の春木川公園(24年12月オープン)に続き全国で2例目だという。
市はこの計画の事業者を3月から公募し、ベルクや「大和リース」(本社・大阪市中央区)などの共同企業体が応募。その後、他の応募者は辞退して10月にベルクなどによる事業案が採択された。
計画では、公園内に床面積約5000平方メートルの1階建て商業施設を建設。ここにベルクや、ドラッグストア、100円ショップが入る。
施設の屋上が公園になる。人工芝を敷いてベンチなどを置き、ジョギングやスポーツイベントに使える場所にする。このほかの地上部分には約1万2000平方メートルの公園を造り、遊具やバスケットボールのゴールを置く。バッタなどの昆虫がすめる草むらも作る。
公園の整備にかかる費用のうち、市が上限約4億9000万円まで負担する。スーパー部分の建設費は事業者が出す。一方、公園内の土地約1万平方メートルは、市が商業施設や駐車場などの用地として月額約160万円で事業者に貸す。公園管理は事業者に委託し、市が年間900万円を払う予定。【高木昭午】
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