
東武鉄道と日立製作所は13日、通勤定期券の乗車で改札を顔認証で通過できるサービスを始めると発表した。鉄道各社は改札の維持費用の負担低減を目指して、多様な運賃支払いシステムを試行している。顔認証の導入もその一環で今後、他の鉄道会社への展開を目指す。
顔認証を導入するのは、東武宇都宮線の東武宇都宮駅(宇都宮市)から栃木駅(栃木県栃木市)までの12駅で、13日午後から始めた。専用サイトを通じて定期券の交通系IC番号に顔情報をあらかじめ登録しておく。通過する際はカメラで顔を認識し、定期券の保持者かどうかを識別して扉が開閉する。
当面は外付けの独立した端末で顔認証を行う。26年春からは、カメラを内蔵した改札機を東武宇都宮駅ー栃木駅間の一部の駅で設置する。同区間の通勤定期券の保持者は約2500人いる。

両社は指の静脈を認識できる生体認証サービス「SAKULaLa(サクララ)」で協力しており、24年4月から東武グループ傘下の東武ストアでの決済やホテルのチェックインなどで導入されている。11月時点で1万人以上の利用登録者がいるという。
今回はサクララに顔認証を導入し、本人認証の方法を増やした。JCBが販売する決済端末でも、26年度から顔認証による支払いができるようになる。そのほかオフィスの入退室など他の用途への拡大も目指す。
顔認証による改札通過を巡ってはJR東日本が新潟県の一部区間で新幹線定期券で実証実験を始めたほか、京成電鉄の京成スカイライナーや大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)でも進んでいる。手ぶらで改札を通過できる移動の利便性の向上に加え、維持費がかかる磁気乗車券に代わる新たな運賃支払い方法を探っている。
東武鉄道経営企画本部の竜江義玄本部長は「サクララの顔認証は改札のみならず店舗での支払いなど他業種でも使えるプラットフォームビジネスで強みがある。東武宇都宮線を中心に傘下の百貨店などへ展開していきたい」と語った。
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