伊藤忠商事などは14日、俳優や声優らが所属する日本俳優連合(日俳連)と覚書を締結し、「プロの声」の不正利用対策や音声の生成人工知能(AI)ビジネスを推進する取り組みを始めると発表した。「声」を知的財産(IP)として保護し、利用管理する仕組みを年内にも整える。
生成AIの急速な進展で、声優や俳優の声を模倣したコンテンツが無許可で生成される問題が相次いでいる。声そのものは著作権で保護されておらず、無断利用による損失は金銭面だけでなく、声優や俳優らの信頼や創作活動の継続などにも影響を及ぼし、業界全体の課題となっている。
伊藤忠商事の子会社、伊藤忠テクノソリューションズが技術支援し、日俳連を運営主体とした公式音声データベースを立ち上げる。
俳優や声優ら数千人規模での収集を想定しており、本人の意思表示に基づき利用範囲を明確化する。法人利用が前提で、所定の料金を支払うことで、合意された用途の範囲で音声データを利用できる。データは電子透かしや声紋などのセキュリティー技術を使い、不正利用を防止する。
データベースに集まった音声データは、教育や医療、観光などのサービス分野での活用が期待されているという。初めは国内利用を想定しつつ、将来的には海外展開を踏まえた世界での活用も推進する。【佐久間一輝】
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