反社会的勢力に不正融資や多額の資金を提供していたことが発覚したいわき信用組合は14日、常勤理事1人が、過去に反社としての認定が必要な法人への不適切な融資案件に関わっていた事実が認められたと発表した。この常勤理事は責任を取って14日付で辞任したという。また、同信組は同日、反社との取引遮断に努めるなどとする業務改善計画書を金融庁に提出した。
同信組によると、この常勤理事は支店長だった昨年、融資を担当した企業が反社とつながりがあることが後に判明し、責任を取って辞任したという。
反社会的勢力をめぐっては、2004年以降で計10億円前後が提供され、さらに反社の関係者らに対し、少なくとも10件で計約31億円の融資が実行されたことが認められている。
この日提出した反社との取引をめぐる改善計画は、理事長ら役員5人を役員報酬10~50%の返上(3カ月)の懲戒処分▽約31億円の融資については預金保険機構の債権買取制度を活用する▽反社リストの外部データなどの導入などを通し、取引の未然防止を図る▽警察OBを顧問として登用し、弁護士とも緊密に連携して取引解消を進める――などとした。さらに、旧経営陣への民事訴訟提起、刑事告訴を今年中に行うとした。記者会見を開いた同信組の金成茂理事長は「組合員や地域の皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけし、改めておわびする」と頭を下げた。
同信組は今年5月、総額247億円に上る不正融資をめぐって金融庁から業務改善命令を受けており、10月31日に反社への資金提供について2度目の業務改善命令を受けた。【柿沼秀行】
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