
【ベレン(ブラジル北部)=井田正利】環境省と国立環境研究所は17日、新しい温暖化ガス観測衛星「いぶきGW」が集めたデータを2026年から民間企業に無償で提供すると発表した。まずは三菱UFJ銀行と損害保険ジャパンが活用を始める。企業の温暖化ガス削減の取り組みを後押しする。
第30回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)の会場内に設けた日本パビリオンで同日にセミナーを開き、公表した。
2社は温暖化ガスの一種であるメタンを観測したデータを使う。三菱UFJ銀は石油や天然ガスのパイプラインからメタンが漏れ出している場所を特定し、顧客のエネルギー関連企業に提供するサービスを26年度にも始める。損保ジャパンも同年から保険を契約した企業にメタンの漏洩リスクをリポートにまとめて提供する。
メタンは二酸化炭素(CO2)よりも温室効果が大きい。環境省の担当者は「CO2とメタンを同時に観測できるのがいぶきGWの強みで、データのニーズは高まっている。スタートアップ企業などにも幅広く使ってもらいたい」と話す。
いぶきGWは環境省と国環研、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同開発し、6月に打ち上げた。温暖化ガス観測衛星としては「いぶき」「いぶき2号」に続く3機目となる。従来機よりも詳細で広い範囲の観測が可能となっている。
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