米連邦取引委員会(FTC)が米IT大手メタを反トラスト法(独占禁止法)違反で訴えた訴訟で、コロンビア特別区(首都ワシントン)の米連邦地裁は18日、FTCの訴えを退ける決定を下した。中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の台頭を踏まえ、写真共有アプリ「インスタグラム」や通信アプリ「ワッツアップ」の買収が市場の独占に当たらないと判断した。
メタ(旧フェイスブック、2021年に社名変更)は12年に10億ドルでインスタグラムを、14年に190億ドルでワッツアップをそれぞれ買収した。FTCはフェイスブックを運営する同社が新興企業を買収したことで、「利用者がオンラインで友人や家族とつながる」という限定的な市場で独占を維持したと主張。20年にフェイスブックを提訴した。
メタ側は審理の中で、時代の流れと共にソーシャルメディアのサービスは多様化し、境界線がなくなっていると反論。動画サイト「ユーチューブ」とティックトックが「利用者の時間と関心を激しく奪い合う競合相手」だと訴え、もはやFTC側が主張する限定的な市場で競争しておらず、メタの市場シェアは独占の水準を下回っていると述べていた。
地裁は18日の決定でメタ側の主張を支持し、ティックトックについて「メタの最も手ごわいライバルとして中心的な存在」との認識を示した。メタが今も独占的地位を保持し続けていると立証する責任が当局側にあるとし、「FTCは立証を果たせなかった」と認定した。
米メディアによると、FTCはあらかじめ地裁判事に対し、メタに買収した2社を売却させるように求めていた。規制当局がビッグテック(巨大IT企業)への取り締まりを強化する中、今回の決定は独禁法適用の困難さを浮き彫りにしたとの見方が出ている。【ワシントン浅川大樹】
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