モーター大手のニデック(旧日本電産)の元社員の男性が、東洋経済新報社の記者に営業秘密に当たる情報を提供したとして、ニデックが元社員と東洋経済側に1億1千万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁(杉浦正樹裁判長)は20日、元社員に275万円の賠償を命じる判決を言い渡した。

 判決によると、元社員は2022年、取材のために接触してきた東洋経済の記者に対し、経営情報などを含む稟議(りんぎ)書や退職者の人事情報などのデータを提供。このデータを含む記事が23年2月、東洋経済オンラインで掲載された。

 判決は、提供されたデータは担当者以外が無断で持ち出すことが許されておらず、不正競争防止法上の「営業秘密」にあたると指摘。元社員は裁判で「データは営業秘密ではなく、公益実現のために取材を受けた一環で提供した」などと主張したが、判決は元社員の行為は違法だと判断した。

 一方、東洋経済側については「資料は元社員が自発的に提供したもので、取材の過程で違法行為はなかった」として、賠償責任はないと結論づけた。

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