半導体受託生産の世界大手「台湾積体電路製造」(TSMC)の熊本工場(熊本県菊陽町)を運営する「JASM」は工場内の水処理施設を報道陣に公開した。水を4回繰り返し使って取水量を抑えていることや、排水に際し活性炭などを使う仕組みを解説。地元の関心が高い環境保全への取り組みを説明した。
報道公開されたのは2024年12月に量産を開始した第1工場の地下2階(約2万2000平方メートル)にある設備。タンクが並び、配管が縦横に走る。担当者によると、くみ上げられた地下水はここで「超純水」に生まれ変わっている。水に含まれるミネラルなどを極限まで取り除いた水で、半導体製造には欠かせない。
また施設では排水管理もしており、活性炭や物質同士が結合する作用を使って処理しているという。
一方、TSMCの熊本進出後、県北を流れる坪井川で有機フッ素化合物(PFAS)のうち国が規制していないPFBS、PFBAの濃度上昇が確認されている。県設置の有識者委員会からは「工場稼働との因果関係が認められる」との指摘もある。
JASMの担当者は「熊本工場では法規制に関わる物質は取り扱っていない」と改めて説明。「法規制外の対策は弊社のみではできないので、行政やサプライヤー(供給企業)と協力しながら環境への影響がないものにしていきたい」と述べた。【山口桂子】
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