
経済産業省は21日、最先端半導体の量産を目指すラピダスへの政府支援を2026〜27年度に約1兆円追加すると明らかにした。技術開発への補助金に加え、追加出資も計画し、累計の支援額は2.9兆円に及ぶ。各年度の予算案に計上し国会の審議を経る。
26年度に約6300億円を支援するのに加え、経産省所管の情報処理推進機構(IPA)を通じ1500億円以上を出資する。27年度には約3000億円を支援する。27〜28年度には政府支援で建設した工場などの設備をラピダス株と交換する現物出資も予定する。
ラピダスは30年度ごろに営業黒字を達成する事業計画を経産省に提出した。27年度に2ナノ(ナノは10億分の1)メートル半導体の量産を始めるのに続き、1.4ナノも量産し、31年度の株式上場を目指す。
累計投資額は7兆円超に膨らむ。民間企業から1兆円規模の出資確保を目指し、このうち25年度は1300億円程度を調達する。
経産省は1000億円の政府出資も正式に決め、21日に発表した。25年度内にIPAを通じて出資する。重要事項について拒否権を持つ黄金株を政府が保有する。他社への株式譲渡や技術提携に政府の同意が必要になる。
ラピダスの工場や装置といった設備は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が保有しラピダスに委託事業の扱いで貸与している。ラピダスは設備を量産に使う27年度までに資産を国から買い取る必要があったが、現物出資なら不要になる。
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