関西国際空港の冬期スケジュール(10月26日~2026年3月28日)で、国際線旅客便がピーク時の12月に週1553・5便と24年冬期比13%増で夏冬を通じて過去最高が見込まれる。一方で、高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を巡り、中国外務省が日本への渡航自粛を呼びかけており、今後、中国便の減便による影響が懸念される。
関空を運営する関西エアポートが10月下旬時点の計画便数をまとめた。韓国や東南アジア方面の路線が好調で、航空各社が旺盛な訪日外国人の需要や日本人の海外旅行の回復基調に対応して便数を増やした。韓国方面の週453・5便と東南アジア方面の週212便はいずれも過去最高だった。
関西エアの新宮早人執行役員は記者会見で「関西に来る韓国人は非常に多く、韓国を訪れる日本人旅客も回復している。東南アジアに開拓できるマーケットがある」と述べた。新宮氏は直行便のないインドネシアやインドなどの路線開設に力を入れる考えを示した。
10月26日には、格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパンがフィリピン・マニラ線を週7便で、韓国のイースター航空が釜山線を週14便で再開した。タイ・ライオンエアは12月2日から台湾・台北経由のタイ・バンコク線を週4便で運航する。
ジェットスターのマニラ線は5年8カ月ぶりの再開で、10月26日夜、スタッフ十数人が「ご搭乗ありがとうございます」と書かれた横断幕を持ち、出発する機体に手を振って見送った。帰国するマニラ在住の化粧品販売業、ジョイ・レギタオさん(29)は「航空券がとても安かった。LCCを利用すると旅行しやすく、日本の観光を楽しめた」と話した。
同社は「今後の事業の成長のカギとなるのは旺盛なインバウンド(訪日外国人)の需要への対応と捉え、国際線の拡充を進める。関空―マニラ線の再開はその一環」と位置付け、「関西圏には在日フィリピン人のコミュニティーがあり、旅行や親族の訪問を含め、日本発と現地発の双方向の移動需要を取り込みたい」と説明する。
一方で、冬期の計画便数に、中国当局による渡航自粛要請の影響は織り込まれていない。中国国際航空は30日から、機材繰りを理由に上海線を週21便から週16便に減便することを決めた。中国の複数の航空会社は日本便の予約の変更や払い戻しを無料で受け付けており、今後、減便の動きが広がる可能性がある。関西エアは中国便について「一部で減便が出ている。今後の国際情勢の変化による影響など状況を注視し、関係機関と連携して対応していく」とコメントした。
関空の4~9月の国際線旅客数は1384万人、このうち外国人は1099万人といずれも年度上半期として過去最高だった。【中村宰和】
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