USスチールが本社を置く米東部ペンシルベニア州ピッツバーグ近郊で、聴衆の歓声に応えるトランプ大統領=2025年5月30日、金寿英撮影

 トランプ米大統領が日本製鉄傘下の米鉄鋼大手USスチールの取締役として、米商務省幹部を選任した。米政府は経営上の重要事項に対し通常より強い権限を持つUSスチールの「黄金株」を持っており、取締役任命もそれに基づく措置となる。政府が24日、官報に25日掲載予定の文書で明らかにした。

 取締役に就くのは商務省投資促進局のデービッド・シャピロ首席顧問。政府が日鉄との間で締結した「国家安全保障協定」に順守した取り組みをUSスチールが実施しているか、厳格に監視する役割を担う。

 日鉄は今年6月、141億ドル(約2兆円)を投じてUSスチールの普通株を100%取得し、完全子会社化した。一連の買収をめぐっては約1年半にわたって曲折したが、最終的に米政府にUSスチールの黄金株を発行することを条件に、トランプ氏が承認して決着した。

 黄金株により、生産や雇用の国外移転、設備投資の削減など重要な経営判断には米政府の同意が必要となる。政府は官報掲載予定の文書で、黄金株は大統領にUSスチールの監督権限を与えているとし「米国の安全保障はUSスチールの国内生産施設の継続的な操業に依存している」と記した。【ワシントン浅川大樹】

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