厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 厚生労働省は26日、医療機関の経営状況を調べた医療経済実態調査の結果を、中央社会保険医療協議会で公表した。2024年度の一般病院の利益率はマイナス7・3%で、前年度から0・2ポイント改善したが、赤字が続いた。調査を基にした厚労省の分析によると、一般病院は72・7%が赤字だった。

 調査は2年に1度の診療報酬の改定に合わせて実施される。医療機関の収入に直結する診療報酬は公定価格で、近年の物価や人件費の高騰を転嫁できないため、赤字につながったとみられる。

 調査期間は23~24年度。病院の種別ごとに見ると、24年度は公立病院が18・5%の赤字。国立病院はマイナス5・4%、医療法人が運営する民間病院は、マイナス1%だった。

 一般診療所(医療法人)は4・8%と黒字を確保したが、前年度からは3・5ポイント減だった。歯科診療所(医療法人)は5・5%(同0・1ポイント増)、保険薬局(法人)は4・9%(同0・2ポイント減)だった。

 診療報酬は、この実態調査を基に改定率などの議論が本格化する。26年度改定では、医療機関の経営が逼迫(ひっぱく)する要因となっている急激な物価や人件費の高騰への対応が焦点で、日本医師会など医療関係団体が大幅な引き上げを求めている。

 一方、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会は26年度改定について、医療機関の経営改善や医療従事者の処遇改善につながる適切な対応を図ることは必要とした上で、病院よりも利益率が高い開業医などの診療所は報酬の適正化が不可欠だと提言している。【肥沼直寛】

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