太宰府天満宮参道(福岡県太宰府市)の土産物店「小野筑紫堂」が8月に閉店し、全面改装して和風調味料を手がける久原本家グループ(福岡県久山町)の「茅乃舎(かやのや) 太宰府天満宮参道店」が27日にオープンする。小野筑紫堂の店主、小野隆弘さん(78)は遣隋使・小野妹子(おののいもこ)の末裔(まつえい)で、家族とともにこの地を守ってきた。高齢となり、だしで全国的なブランドを確立した食品メーカーに「参道の新しい風景を見せてほしい」と、思いを引き継ぐ。
隆弘さんによると、小野筑紫堂は1955年ごろ、隆弘さんの母が始め、祖母とふたりで切り盛りした。その後、隆弘さんは長崎大の教員になり、環境科学部教授として65歳で退官するまで、妻の洋子さん(76)が店を守り、この十数年は夫妻で営んできた。
店の奥には茶房があり、地元名物の梅ケ枝餅などを提供。2016年度に市の「だざいふ景観賞」に選ばれた庭園を眺めることができる。淡いピンクの花が美しい鶯宿梅(おうしゅくばい)を楽しめることから、ファンも多かった。
しかし、隆弘さんは年を重ね「店の仕事がきつくなってきた。区切りをつけたい」として、2年ほど前から店舗を賃借してくれる業者を探していた。伝統ある参道にふさわしい店を出してくれる業者にこだわり、久原本家と話がまとまった。
茅乃舎の参道店は、定番の「茅乃舎だし」のほか、梅を使った店限定の商品も販売する。店と隣接する隆弘さんの自宅の庭園はそのまま残され、店内のイートインスペースから眺められるようにした。
久原本家グループは福岡県内や関東、関西など国内33店舗、香港と台湾でも計2店舗を展開している。参道店は国内34店舗目。太宰府天満宮は「学問の神様」として知られ、若者や訪日外国人(インバウンド)の姿が目立つ。
26日に内覧会が開かれ、久原本家グループの河辺哲司・社主は「参道への出店は初めてで大きな実験店舗。インバウンドの方々には、だしの文化をPRしたい。若い人たちにお客様になってもらうことも大事なテーマ」と話した。また、小野筑紫堂の後を引き継ぐことには「責任を痛感している。恥じない店にしなければならない」と述べた。
隆弘さんによると、飛鳥時代(593~710年)の役人だった小野妹子の子孫が大宰府政庁に赴任し、太宰府に居を構えた。大宰大弐(だざいのだいに)の小野好古(おののよしふる)は958年に現在も続く太宰府天満宮の「曲水の宴」を始めたことで知られる。その後、子孫は太宰府天満宮に仕え、現在は隆弘さんが社家会の会長を務める。
隆弘さんは「歴史的に背負わされたところはあるが、この地を守ることが小野家のミッション(使命)。久原本家さんにお任せすることができて、ホッとしている」と話している。【後藤浩明】
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