長野県石油商業組合北信支部のガソリンスタンド事業者によるカルテル行為を公正取引委員会が認定したことを受け、長野県の阿部守一知事は27日の会見で「県民の信頼を損なう大変遺憾な行為」と批判した。カルテルを事実上容認したと認定された組合の本体には信頼回復の努力を改めて求めた。

 知事は「県民を代表する立場で」と断ったうえで「本来は法令を守って組合員に研修する組織がこの実態だったのは残念であると同時に許しがたい。信頼回復をしっかりしてもらわないといけない」と語った。組合の第三者委員会が提言する組合幹部の刷新については「組合が主体的に考えることが重要」と述べた。

 一方で知事は、組合の設置許可権限をもつ県の「法令に基づく立場」から、業務改善命令などを視野に入れて対応する可能性にも言及した。

 公取委は26日、価格カルテルを結んだとして北信支部の独占禁止法違反(事業者団体による競争制限)を認定し、排除措置命令をおこなった。支部に加盟する高見沢(長野市)や東日本宇佐美(東京都文京区)など17社に計1億1658万円の課徴金納付命令を出した。組合に属さない3事業者にも独禁法違反の恐れがあったとして警告を出した。組合本体にはカルテルを事実上容認していたとして独禁法を順守するよう申し入れた。

 組合は27日夕時点で公式の声明を出していない。姿勢を問題視する加盟事業者も出ている。

 課徴金の納付命令を受けた相馬商事(長野県佐久市)は26日に自社のホームページで、組合から脱退することを明らかにした。「組合への継続的な所属が当社のイメージに悪影響を及ぼす可能性がある」と判断したという。

ガソリンカルテル問題で課徴金納付命令を受けた事業者と課徴金額

高見沢(長野市)3731万円

東日本宇佐美(東京都文京区)2738万円

サンリン(長野県山形村)858万円

相馬商事(長野県佐久市)842万円

北信米油(長野市)578万円

ENEOSウイング(名古屋市)544万円

本久(長野市)401万円

カワネン(長野市)376万円

太陽鉱油(東京都中央区)287万円

佐藤商店(長野県須坂市)201万円

吉田興産(長野市)201万円

武重商会(長野県上田市)183万円

渡辺商事(長野市)170万円

中野アポロ(長野県中野市)166万円

花岡(長野市)147万円

ヤマギシ(長野県千曲市)122万円

外村石油(長野県須坂市)113万円

タカサワ(長野市)免除

※事件の真相解明に資したとして、タカサワは課徴金を免除、ENEOSウイングは30%減免

警告を受けた事業者

グリーン長野農業協同組合(長野市)

ジェイエイ・アップル(長野県中野市)

ながの農業協同組合(長野市)

法令順守などの申し入れを受けた事業者

長野県石油商業組合(長野市)

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