星野リゾート（長野県軽井沢町）が山口県下関市あるかぽーとに建設していたホテル「リゾナーレ下関」が完成し、内覧会が27日あった。関門橋と関門海峡を目前にした真新しいホテルの各施設を、約70人が見学した。開業は12月11日。
星野リゾートが国内外で手がけている宿泊施設としては74番目で、コンセプトは「海峡のデザイナーズホテル」。敷地面積約1万4160平方メートル、地上12階建て（延べ床面積約1万9200平方メートル）で187室。全ての客室から海が臨める。
星野リゾートの星野佳路（よしはる）代表は、下関市唐戸町から岬之町（はなのちょう）エリア周辺までの開発推進に官民連携で取り組む「あるかぽーと・唐戸エリアマスタープラン」に参加している。
星野代表は内覧会のあいさつで「マスタープランがすべて完成すると、このエリアは力を持つと確信している。最初のプロジェクトとしてリゾナーレが開業する。ここでこけると投資家が引く。うまく行くと新たな需要を生み、周囲に影響を与え始めると次の投資もスムーズにいく。全力で予定通りの立ち上がりと収益確保をやっていきたい」と強調した。
前田晋太郎・下関市長は「ロビーに入って感激した。素晴らしい空間を下関に誕生させてくれたことに感謝する。長い道のりだったが、8、9年でここまで成し遂げられたのは奇跡。久しぶりにワクワクして感極まっている」と破顔した。
続いてホテルをデザインした、クラインダイサムアーキテクツ（東京）のアスリッド・クラインさんと福岡有紀さん、日本設計（東京）の塚川譲さんが登壇。3人は関門海峡からインスピレーションを得たと言い、ホテル全室から海が見えるように設計。「波」を連想させる「曲線」を建物全体だけでなく、屋内にも大胆に取り入れた。
クラインさんは「街では四角い建物ができやすいが、ユニークな建物を作りたかった」。塚川さんは「曲線をどう使うかにこだわった。施工者さんには苦労をかけたと思います」と苦笑い。福岡さんは「（近接する水族館の）海響館のフグをどうデザインに取り込むかを考えました」とこれまでを振り返った。
鏡割りでは、酒の代わりにクッキーが入った酒だるを使い、星野代表、前田市長のほか、下関市のご当地ヒーロー「海峡戦士タイガーフーク」も加わってホテル完成を祝った。
内覧会では参加者が客室、プールなどを見学した。客室は9タイプ。最高のスイートルーム「海峡カバナスイート」には、室内に砂浜を設け、ハンモックを設置。プライベートビーチの感覚が味わえる。最大5人が泊まれる部屋や、愛犬と泊まれる部屋も用意している。
「食」にもこだわり、メインダイニング「OTTO SETTE SHIMONOSEKI」では、名物のフグをイタリア料理フルコースで堪能できる。ビュッフェダイニング「PUKU PUKU」は、夕食時に唐揚げやブイヤベースなどのフグ料理、海藻で包んだローストビーフなどを提供。朝食時にはフグ出汁（だし）で味わう瓦そば、かんきつを使ったフレンチトーストなど、下関の食材やメニューを楽しめる。
インフィニティプールは、関門海峡の海面とプール水面がひと続きに見えるように設計され、「非日常」を演出。全天候型プール「ふぐプール」には全長30メートルのウオータースライダーを設け、壁や床のあちこちにフグのデザインがちりばめられている。
波のようにデザインされた屋外の「なみなみテラス」には芝生エリア、ソファ、カウンター席があり、関門海峡を存分に楽しめる。子供向けコンテンツも多彩で、講座「はじめての関門海峡」では船に乗ったり、船舶の交通ルールを楽しく学んだりする。海響館飼育員からフグの生態などを学ぶ「海響館講座」や、パティシエの格好で子供たちがスイーツを作る講座もある。
星野代表はインバウンド（訪日客）だけでなく、首都圏や福岡市からも集客していく考えを示し「世界の中で競争力を持てる場所にしたい。投資額は大きいが、この地が持つポテンシャルを発揮できる」と未来を見つめた。
料金は、2人1室利用時の1人1泊2万1000円（税込み、食事別）から。スイートルームの場合、同条件で5万円から。【山本泰久】
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