パナソニックハウジングソリューションズが販売するコンパクト化と使い勝手向上を両立したキッチン「compact-3 plan」
パナソニックホールディングス(HD)子会社で住宅設備を手がけるパナソニックハウジングソリューションズは、コンパクトでありながら効率よく広々と使うことができるキッチンを開発した。住宅価格や地価の高騰に伴う住宅の狭小化に対応し、間口を約1割狭めた。さらに複数人でも使い勝手の良いデザインにすることで調理スペースも確保した。戸建てのリフォーム需要を取り込む。

同社が手掛けるキッチンシリーズのうち高級価格帯に位置づけられる「L-CLASS」の新プランとして「compact-3 plan」の販売を始めた。戸建てキッチンの間口の主流サイズは約2.5メートルで30年以上変化していない。間口を30センチ縮小することで狭小戸建てへ対応するほか、間取りの自由度を高めた。

希望小売価格は工事費を除いて250万9000円から。従来の2.5メートルプランと比較して約11%価格を抑えた。シンクやコンロ下の収納スペースが減ったことなどが影響した。

住宅価格の高騰により、新築購入をあきらめて中古住宅を購入しリフォームする人も増えている。同社が2025年8月に直近3年以内にリフォーム・リノベーションを実施した20〜50代の男女200人を対象にしたインターネット上での調査によると、住宅をリノベーション・リフォームする際に最重要視している設備・建材はキッチン(36%)だった。

手前や奥のスペースを有効活用できるフラットワイドコンロ

キッチンを選ぶ際に重視するポイントのうち上位に挙がった「調理スペースの広さ」「コンロの使いやすさ」「シンクの広さ」を反映し、同社が提唱する「キッチン最新三種の神器」を搭載した。

1つ目は横に3つコンロが並んでおりカウンターとコンロの段差が少ない「フラットワイドコンロ」。一般的な三角形に配置されているコンロと比べ、手前や奥のスペースを活用して作業できる。間口を縮小してもキッチン全体の調理スペースは従来比8割増えた。

2つ目は「ラウンドアクセスシンク」だ。シンクの幅を短くした一方で奥行きを広く取り一般的なシンクと同等の面積を確保したのに加えて、キッチン側・ダイニング側・通路側の3方向から同距離でアクセスができ最大3人で同時に作業できる。パートナーや子供と一緒に下ごしらえや調理をしたいというニーズに応えた。素材には汚れや傷に強い人造大理石を採用した。

3つ目は9人分の食器が1回で洗える450ミリメートル幅の「フロントオープン食洗機」だ。ヒーター乾燥機能と除菌機能がついており、食器収納庫としても活用できる。間口を縮小したことによる収納スペースの減少を補う。

住宅設備のコンパクト化はマンションのリフォームにおけるエレベーターなどの搬入課題に対しても有効だ。水廻りシステム事業部の窪井健司統括部長は「今後、普及価格帯にも展開していきたい。戸建てだけでなくマンションや賃貸での需要も高いとみている」と拡大を目指す。

パナソニックHDはパナソニックハウジングソリューションズをYKKに売却する(YKKAPの堀秀充会長(左)とパナソニックハウジングソリューションズの山田昌司社長、11月17日、東京都千代田区)

パナソニックHDはパナソニックハウジングソリューションズの株式80%を26年3月までにYKKに売却する。残り20%は保有し続ける。パナソニックHDが25年から本格的に進めている事業構造改革の一環だ。(伊藤陽萌)

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