地球温暖化など世界規模の気候変動が作物の栽培にも影響を与える中、東北大大学院の平賀優介助教(水文学)の研究チームが東日本におけるワイン用ブドウ栽培への将来的な影響を予測し、北海道や東北北部で栽培適性度が向上するとの研究成果を国際科学誌に発表した。一方、国内ワインの一大産地である山梨県の甲府盆地など、既存の栽培地の一部では適性が落ちることも突き止めた。
平賀助教によると、ワイン産地として有名なイタリアや米カリフォルニア州などでは21世紀末までに栽培に適さなくなる可能性があるとこれまでの研究で指摘されている。一方で、国内の栽培地の変化に関する分析は十分ではなかった。
そこで研究チームは、気象などの各種データを駆使し、日本の気候の特徴を踏まえて高い精度で適地を予測する統計モデルの構築に取り組み、成功した。
このモデルで現在(2008~20年)の気候条件での栽培適地の分布を推定すると、甲府盆地や信州(長野県)、山形県南部といった既存の栽培地に加え、福島県の会津地方なども適していることが示された。
更に、「41~60年の近未来」と「81~2100年の遠未来」の二つの年代でそれぞれ、温暖化の程度が比較的抑えられた場合と比較的大きい場合を想定。計4パターンで適性度が現在からどう変わるのか予測した。
その結果、適性度が高い地域は全体として北方や標高が高い場所に移動する傾向がみられた。特に遠未来で温暖化の程度が比較的大きい場合には北海道の空知・オホーツクなどの各地域や、岩手県北部、秋田県北東部などの適性度が顕著に上昇した。また、標高1000~1500メートルの上昇幅も大きかった。
一方で、現在の産地の一部では気候変動に伴い、適性度が低下するとの予測が出た。これらの変化の主な要因について研究チームは気候変動による大幅な気温上昇であると結論づけた。
適性度が低下する地域はどうすればよいのか。平賀助教は「栽培期間を早めるなどの対応をとればある程度、緩和できる」と指摘する。研究により「気候変動を見据えた適応戦略や、新たな産地の開発に向けた政策づくりに対して科学的根拠に基づいた指針を与えることが可能になった」と話した。【山中宏之】
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