
三越伊勢丹ホールディングス(HD)など百貨店大手4社が1日発表した11月の免税売上高(速報値)は3社で減収だった。11月半ばに中国政府が日本への渡航自粛要請を出した影響が出つつあり、各社は「今後の影響を注視する」としている。既存店売上高(同)は全社で前年同月比プラスだった。4社増収は3カ月連続。
免税売上高は三越伊勢丹(首都圏5店舗、5.3%減)、高島屋(3.1%減)、エイチ・ツー・オーリテイリングの阪急阪神百貨店(1ケタ減)の3社が減収だった。高市早苗首相の台湾有事を巡る発言を受け、中国政府は11月中旬に自国民へ日本への渡航自粛を呼びかけた。航空各社には日本への航空便の減便要請が出た。
中国人客の免税売上高をみると、阪急阪神百貨店は月間では前年を超えたものの、月後半のVIP顧客以外の売上高に絞ると前年同期間比で約2割減だった。高島屋では2.7%減だった。「現時点で大きな影響はないが、航空減便などもあり動向を注視する」とした。
三越伊勢丹HDは中国客の自粛影響の可能性に触れつつ、24年11月以降の免税売上高の高水準にも言及した。前年は夏に円高に振れた後、円安に戻り免税売上高が回復した。25年11月の免税の客単価は前年を超えていて「(中国については)減便しても個人客は来るとみる。客数が減っても客単価を上げるのが重要だ」(同社)とする。

一方、J・フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店の免税売上高は13.6%増と、4社で唯一増収だった。客数、客単価ともに前年同月を超えた。ただ月前半と後半で見ると、免税客数の対前年伸び率は前半が後半を上回るという。
既存店売上高は三越伊勢丹が1.4%増、高島屋が3.7%増、大丸松坂屋が5.1%増、阪急阪神百貨店が3.6%増だった。
国内売上高も全社増収だった。気温の低下に伴い秋冬物の衣料品がよく売れたほか、外商顧客の売上高も伸長した。三越伊勢丹は2.7%増、高島屋は4.4%増、大丸松坂屋は3.3%増だった。阪急阪神百貨店も前年を超えた。
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