米国際貿易裁判所=米ニューヨークで8月、共同

 豊田通商や住友化学など、少なくとも9社の日本企業の米関係会社が、トランプ米政権の高関税措置に基づき支払った関税の返還などを求めて米国際貿易裁判所に提訴したことが分かった。連邦最高裁が審理中の「相互関税」などの合法性を巡る訴訟で違法判決が出た場合、払い戻しを受けられるようにする狙い。

 訴状によると、原告側は連邦最高裁が違法と判断しても、関税が返還される保証はないなどと主張。対象となる関税の全額返還を要求している。

 提訴が確認できたのは他に、リコーや横浜ゴム、ウシオ電機、日本ガイシ、二輪車事業を手がけるカワサキモータース(兵庫県明石市)、工作機械のヤマザキマザック(愛知県大口町)、プロテリアル(旧日立金属、東京)の関係会社。他の日系企業も提訴している可能性はある。

 原告側は、大統領が非常事態を宣言して経済取引を制限できるとする国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠とした関税の違法性を主張。別の法律に基づく自動車などへの分野別関税は含まない。

 専門家からは、裁判で返還が命じられた場合でも返還の手続きは煩雑となり、数年を要するとの指摘がある。

 提訴はいずれも、連邦最高裁が11月5日に開いた口頭弁論の後に行われた。最高裁では、IEEPAが大統領に関税を課す権限を与えているかどうかが焦点となっている。判決の時期は明らかになっていない。

 日系企業に加え、米会員制量販店のコストコホールセールなど数十社も、同様に関税の払い戻しを求めて提訴している。【ワシントン共同】

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