
製造業向け図面管理システムを手がけるFact Base(ファクトベース、東京・港)は、大手ベンチャーキャピタル(VC)の米インサイトパートナーズから資金調達したと発表した。インサイトパートナーズが日本のスタートアップに投資するのは初めて。ファクトベースは調達資金を使い、イタリアやドイツなどの欧州市場を開拓する。
ファクトベースが実施する第三者割当増資をインサイトパートナーズが引き受けた。既存株主から株式を取得した分と合わせて取引総額は44億円に上るという。増資と株式譲渡の金額の内訳は明らかにしていない。
ファクトベースはキーエンス出身の竹内将高・最高経営責任者(CEO)が2022年に立ち上げた。中小企業や工場向けに図面や関連資料を簡単に管理できるサービス「ズメーン」を提供する。国内の製造現場に加えて米国なども導入が増え、同社の海外売上高比率は3割に達する。
今回、調達した資金を活用して欧州での販売に力を入れる。製造業が集積するドイツやイタリアなどに拠点を設置し、ソフトウエアを販売する。「製造現場には使いづらい仕組みが多い。今後、国内外で製造業のプラットフォームのような存在を目指していきたい」と竹内CEOは話す。
インサイトパートナーズは企業向けソフトウエアを手がける企業の投資に強みを持ち、25年6月末時点の運用金額は900億ドル(約14兆円)にのぼる。
成長が見込める日本のスタートアップに対し、海外のファンドやVCから積極的な投資が始まっている。11月には米大手投資ファンドのジェネラル・アトランティック(GA)が146億円で人事労務ソフトウエアを手がけるスタートアップのSmartHR(スマートHR、東京・港)の株式を取得していた。
これまで米国の大手ファンドやVCは中国の新興企業に投資するケースが見られたが、足元の米中関係を踏まえて日本のスタートアップに目を向け始めている。「米国の同業スタートアップより、日本のほうが割安感がある」(国内大手VC)との見方もあり、今後も海外企業による日本投資が増える可能性は高い。
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