
旭化成は5日、主力の高機能樹脂「ナイロン66」の主原料になる「ヘキサメチレンジアミン」の生産を2027年4月に終了すると発表した。宮崎県延岡市で製造しているが、中国勢の台頭で価格競争が激化し、生産設備の稼働率が低迷していた。旭化成の撤退により国内で生産を手がける企業はゼロになる。
ヘキサメチレンジアミンは、自動車のミラーカバーやエアバッグ用繊維の材料となるナイロン66のほか、ウレタン樹脂の主原料として使われている。ヘキサメチレンジアミンの製造に必要な原料の一部を水島製造所(岡山県倉敷市)で製造するなどしており、旭化成はナイロン66の製造を原料の生産を含めて一貫して手がけてきた。
ヘキサメチレンジアミンと、その製造の過程で生成される樹脂硬化剤用途のプロピオニトリルの生産を終える。生産終了後は輸入に切り替え、ナイロン66の生産は続ける。
26年3月期にはヘキサメチレンジアミン事業で数億円の損失を計上するが業績予想には織り込み済み。28年3月期以降は固定費削減などで数十億円の収益改善を見込む。数十人の従業員は社内で再配置する。
石油化学関連事業は中国勢の台頭で採算が悪化しており、旭化成は28年3月期までに石化事業含むマテリアル領域で、売上高の2割を占める製品について構造転換を目指している。25年5月には川崎市で生産するアクリル樹脂やその原料の「MMA」を含む4事業からの撤退を発表している。
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