スペースXのロケット打ち上げの様子(米南部フロリダ州、9月)=ロイター

【ヒューストン=大平祐嗣】起業家イーロン・マスク氏率いる宇宙開発のスペースXが自社の企業価値を8000億ドル(約124兆円)と評価して一部の株式売却を進めていることが5日わかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。評価額は米オープンAIを上回り、非上場企業で米国首位に立った可能性がある。

WSJによると、スペースXの最高財務責任者(CFO)が直近の数日間に企業価値を8000億ドルと評価した上で投資家に売却の説明を進めていた。スペースXは7月に同社従業員などの保有株の一部を投資家に売却したと報じられた。この時の評価額は4000億ドルだった。

同じくマスク氏が最高経営責任者(CEO)を務めるテスラの時価総額(1兆4800億ドル)に迫りつつある。

オープンAIの企業価値は10月にスペースXを追い抜き5000億ドルと評価された。スペースXが首位を奪い返した可能性がある。もっともオープンAIは評価額1兆ドルで2026年にも新規株式公開(IPO)を準備しているとの話もある。

スペースXは打ち上げコストを低減できるロケットの再使用技術を確立し、世界の打ち上げ市場で過半のシェアを持つ。打ち上げ技術をテコに地球の低軌道に通信衛星9000基以上を配備し、宇宙を介した通信事業「スターリンク」のサービスを世界に提供している。同サービスの利用者は世界で800万人に上る。

直近では火星探査を見据えた大型船「スターシップ」の打ち上げに連続成功した。米航空宇宙局(NASA)の有人月探査計画「アルテミス3」でも使用される見通しだ。

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