第53回毎日農業記録賞(毎日新聞社主催、農林水産省など後援、JA全中など協賛)の受賞作品が発表された。千葉県内からは、千葉黎明高校3年、鎌形琉来(りく)さん(18)の「キャッサバが支える八街の未来」が高校生部門で入選した。
【近藤卓資】
鎌形さんは中南米原産とされる植物、キャッサバの栽培に挑み、地域農業の活性化や世界の食料問題解決について思いを巡らしながら記録をつづった。受賞の知らせに「驚きましたが、自分の活動が評価されてうれしい」と笑顔を見せた。
鎌形さんは千葉黎明高の生産ビジネス科に在籍している。取り組みたいジャンルやテーマを自由に学べる「課題研究」の授業で、熱帯果樹について調べる中でキャッサバに興味を持った。
キャッサバは、世界の熱帯地域で栽培される多年生植物で、茎の根元にできるイモは広い地域で主食として食べられている。根茎から取れたデンプンはタピオカの原料になる他、バイオエタノールの原料としても使われる。
「八街で育てられるだろうか」との不安もあったが、仲間3人と班を組んで学校内の日当たりのいい畑に20アールを確保。石などを取り除きながら耕して畝を作り、4月に苗を植えた。
最初は生育が鈍く心配だったが、暑さが厳しくなると茎が急激に伸びた。高さが1メートルを超えるまでに成長した姿を見て「ウキウキと喜んで成長している」ように感じたという。鎌形さんは実習時間だけでなく、放課後や夏休み期間中も夢中になって研究を続けた。
しかし、秋に気温が下がると、成長は鈍化した。11月に収穫できたのは、痩せたイモが約5キロ。「寒さに弱い」という心配が的中し、ビニールハウスの利用や品種改良の必要性を実感したという。
「頑張って育てたので、もっと大きく育ってほしかったのですが、夏場は日本でもしっかり育つことが確認できました。日本に適応した品種改良をすることで、安定かつ効率的な栽培が可能になると感じました」
卒業後は農業系の大学に進んで研究を続ける予定だ。「大学で教員免許を取り、先生として母校に戻りたい」と話している。
県内からは他に、次の2人が入選を果たした。(敬称略)
<一般部門>加藤鈴華「つくる農業から、魅せる農業へ」(県立農業大学校農学科2年)▽劉寶然「留学生として歩む農の道~現場から学んだリアルな農業とその魅力~」(同)
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