厚生労働省が8日に発表した10月分の毎月勤労統計調査で、物価の影響を考慮した働き手1人あたりの「実質賃金」(速報)は前年同月比0.7%減り、10カ月連続のマイナスとなった。春闘による賃金上昇に加え、最低賃金の引き上げが反映され始めてもなお、物価上昇が上回り、実質賃金はマイナスが続いている。

 「名目賃金」にあたる現金給与総額は基本給や残業代、賞与などを合計したもので、2.6%増の30万141円だった。46カ月連続のプラスとなった。

 基本給などの所定内給与は2.6%増の27万1663円だった。増加率は実質賃金がプラスとなった昨年12月以来の水準になる。厚労省によると速報のため誤差があり、パート労働者を雇う企業などからの調査票が増えた確報段階では下ぶれする可能性もあるという。

 現金給与総額を就業形態別でみると、フルタイムの一般労働者が2.7%増の38万4151円、パートタイム労働者が2.2%増の11万2283円だった。

物価高続く

 一方、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は3.4%増と高水準が続き、名目賃金の伸びを上回った。

 厚労省の担当者は「名目賃金は長い期間、増えているが、物価高には追いついていない。動向を注視したい」と話している。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。