報道公開されたパナソニックホームズのモデルハウス「近江の家」(12日、滋賀県草津市)

パナソニックホームズは12日、滋賀県一帯の風土や生活スタイルに対応した戸建て住宅のモデルハウス「近江の家」を草津市内で報道公開した。琵琶湖沿いに多いハエ対策で、洗濯干し場を屋内に配置。郷土の「鮒寿司(ふなずし)」向けの保管庫も設けた。滋賀に限らず全国で地域の特性に合わせた機能を提案し、注文住宅の成約を増やす考えだ。

洗濯干し場が屋内にあるのは琵琶湖で発生するハエの一種、ユスリカが付着しないようにするため。鮒寿司など発酵食品の保管庫には除菌・消臭効果がある微粒子「ナノイー」を発生するパナソニックの機器を搭載し、においが他の食品にうつらないようにしている。サイクリングが盛んな土地柄から十分な広さの自転車置き場も設けた。

屋内に洗濯物を干す空間を設けた(12日、滋賀県草津市)

地域子会社であるパナソニックホームズ滋賀(滋賀県草津市)の武田悟社長は「若い世代に比較的安価な平屋の販売が伸びている」と話す。このモデルハウスの来訪客で2025年度は注文住宅を20件程度成約させたい考えだ。

国内では人口減の影響で新築の住宅着工は縮小傾向にある。注文住宅も受注競争が激化しており、パナソニックホームズは地域密着の住宅設計に活路を見いだす。

こうした戦略はパナソニックグループの創業者である松下幸之助の思いを色濃く反映している。住宅事業では地域ごとの自然・風土に合わせた快適な「日本の家」を提供しなければならないと考えていたという。大分県にも「ご当地」のモデルハウスを建てており、宮城県や沖縄県にも設ける予定だ。

パナソニックホームズの奥田弘之商品・デザイン企画室長は「これまでは総合展示場で全国共通のモデルハウスを展開してきた。きらびやかな半面、お客様からは実際の暮らしからかけ離れて見えてしまっていた。これからは地域ごとの暮らしに寄り添ったリアルサイズの住まいのあり方を体感してもらう」と話している。

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