記者会見に臨む金子会長(12日、東京都内)

自動車業界の労働組合でつくる自動車総連は12日、2026年春季労使交渉でベースアップ(ベア)に相当する賃上げ要求の目安額を「月1万2000円以上」とする方針案を発表した。具体的な金額を示すのは2年連続で、25年交渉の「月1万2000円」から表現を強めた。物価高対応で高水準の賃上げ姿勢の維持が重要と判断した。

来年1月の中央委員会で正式に決める。1万2000円は5%程度の賃上げに相当する。賃上げのほか、年間休日を5日増やすことも求める。

自動車業界は米トランプ政権の関税政策で業績が悪化している。同日記者会見した金子晃浩会長は「複雑な環境だが、短期(の業況)ではなく中長期を見据えて取り組む。1万2000円以上の(賃上げの)実現にこだわる」と強調した。

自動車総連は業種ごとの賃金体系などが異なることを背景に、19年の春季交渉から賃金を一律に引き上げるベアの統一要求を見送ってきた。

大手と中小の労組で賃上げ格差が広がったことを受け、25年交渉からは交渉する際の「目安額」を提示する手法を採用した。組織力が弱い中小の労組でも春季交渉に取り組みやすくする狙いがある。

26年交渉を巡っては、自動車総連の上部団体にあたる金属労協が1万2000円以上を要求する方針を決めている。

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