スルガ銀行は15日、2018年に発覚した投資用不動産の不正融資問題について、被害回復を訴える顧客らの一部に総額121億円の解決金を支払うことを決めたと発表した。行員らの不正関与のおそれがある194件については、投資物件の適正価格と割高だった購入価格の差額を払う。他の顧客についても弁護団と協力して解決する方向で合意したという。

 スルガ銀行によると、22年に申し立てられた民事調停では、中古1棟マンションなど605件が対象になった。このうち194件はスルガ銀行側が不正に関与した疑いがあり、1件あたり6千万円超の支払い義務を負うとする裁判所の和解案を受け入れた。残る410件も厳しい回収はせず、金利の引き下げや融資条件の変更などで最終解決を図るという。

 スルガ銀行では投資用不動産融資で預金通帳などの顧客資料を改ざんし、過剰な融資が横行していたことが18年2月の朝日新聞報道で発覚した。銀行員が不正に加担した例もあり、金融庁は半年間の業務停止命令を出した。

 スルガ銀行は、シェアハウス向け融資については20年3月、物件を売却したのちに借金を帳消しにする形で解決した。だが、より融資規模の大きい中古1棟マンションなどは個別に交渉して解決する方針を示し、一律での解決を求める弁護団側と対立していた。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。