
ダイキン工業は15日、欧州の暖房機メーカー向けに基幹部品の圧縮機を販売する事業を始めると発表した。空調部品大手の米コープランドと展開する合弁事業を北米から欧州に広げる。省エネ性の高い部品を市場に提供することで、空調自体の普及率が高まり、ダイキンが手掛ける空調販売にも波及効果があるとみられる。
省エネ性の高い暖房機の市場拡大を見込み、ダイキンがすでに手掛けている最終製品だけでなく部品も販売し、欧州での存在感を高める。
コープランドが51%、ダイキンが49%出資する合弁会社、CDコンプレッション・テクノロジーズ(米オハイオ州)が現地当局の承認を経て、2026年1月ごろまでをめどにドイツに拠点を設立して事業を開始する。ダイキンのチェコ工場で圧縮機を製造し、欧州の暖房機メーカーにコープランドのブランドで販売する。
圧縮機は空調の室外機部分に搭載する基幹部品だ。室内から室外へ熱を移動させる冷媒を循環させる役割を担い、空調の消費電力の9割を占めるとされる。圧縮した高圧ガスが圧縮機の中で低圧エリアに漏れ出さず、運転効率が高まるダイキンの技術「スイングロータリー」を採用する。
圧縮機を搭載するのはヒートポンプ暖房機だ。電気で大気中の熱を取り入れて温水をつくり、室内を循環させて暖める。石油やガスによる燃焼暖房と比べて二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、欧州で普及が進んできた。スイングロータリーを採用した圧縮機は中小型製品への採用が見込まれる。
ダイキンはベルギーやポーランドでヒートポンプ暖房機を製造し、欧州で販売している。その暖房機に搭載する圧縮機は自社製だ。25年に入り、自社向けではなく他社に部品を販売する単販(たんぱん)事業を拡大してきた。コープランドとの合弁による北米事業のほか、インドでも圧縮機の提供に向けて台湾の部品メーカー、瑞智精密(レイチ社)と合弁会社を設立した。
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