NTTと愛知県がんセンター(名古屋市)は16日、がん治療における臨床試験(治験)のデジタルトランスフォーメーション(DX)を共同で推進すると発表した。デジタル技術を活用し、被験者が自宅や近所の医療機関で参加できる「分散型臨床試験(DCT)」の社会実装に取り組む。国内の患者が海外で承認された薬を使えない「ドラッグラグ・ドラッグロス」の解消と地域医療の質の底上げにつなげる。
NTTグループが販売する医療分野向けのシステムを活用して治験プロセスの効率化を図る。例えばスマートフォンで被験者の体調などのデータを収集するNTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)の「SmartPRO」を活用し、対面で行っていた治験の説明や同意取得をオンライン化する。仕事を持つ患者や遠隔地の患者も治験に参加しやすい環境を整える。
医療機関側の事務負担を軽減する仕組みも導入する。NTTデータのデータ共有基盤「PhambieLINQ」を導入し、医療機関の電子カルテと製薬会社の治験データ管理システムを自動連携させる。医療機関による手入力の手間や転記ミスをなくし、データの信頼性を高める。
まずは2026年度上期までに愛知県がんセンターと近隣の5つの医療機関にSmartPROとPhambieLINQを導入して連携体制を構築する。将来的にはこのモデルを全国へ展開し、どこに住んでいても最新のがん治療にアクセスできる社会の実現を目指す。
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