
三井化学は半導体製造工程向け製品で、2027年に最先端の極端紫外線(EUV)露光装置向け次世代品を投入する。半導体回路の原版を保護する膜材料「ペリクル」で26年度に投入予定の製品と比べて透過率を94%以上と2ポイント高め、寿命もさらに延ばし性能を上げる。
三井化学は半導体の製造工程で使われるペリクルや樹脂テープ「イクロステープ」などを手がける。ペリクルは深紫外線(DUV)露光装置やEUV装置向けを展開し、市場シェアは首位とみられる。
ペリクルは露光装置で半導体ウエハーに回路を描く時に原版にホコリがつくのを防ぐ役割があり、正確に回路を描くために高い透過率が重要となる。EUV向けではシリコン系の膜に加えて、26年度以降に投入する製品でカーボンナノチューブ(CNT)を採用して透過率をさらに高める。
半導体材料事業を率いる平原彰男専務執行役員は、17日の事業戦略説明会で「30年度に向けてはペリクルが一番の成長ドライバーとなる」と話した。CNTペリクルはリンテックも開発をしているが、「10年以上開発してきた技術の蓄積、協業先との関係、積極的な投資で他社を凌駕(りょうが)していきたい」とする。

最先端半導体の国産化を目指すラピダスへの供給も期待する。「EUV向けのペリクルで協力できる機会があるのではないか」として、事業機会として捉える。
イクロステープでは、使われる工程の拡大を見込む。愛知県と台湾に生産拠点を持ち、24年には台湾拠点で380万平方メートル増やし生産能力を倍増した。30年度ごろにさらに能力を増強する方針で、「立地は台湾か日本か検討中で、能力増強の規模はこれまでと同等の規模感で考えている」(平原氏)とした。
成長領域には半導体関連のほかヘルスケアや自動車関連事業を据える。ヘルスケアでは主力のメガネレンズ材料の事業拡大のほか、歯科材料でのM&A(合併・買収)も検討する。自動車向け素材ではバンパーなどに使われる「PPコンパウンド」でアフリカでの現地生産を検討し、まずは生産委託から始め早ければ26年にも展開する考えだ。
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