インスタントカメラ「チェキ」用フィルムの生産ライン

富士フイルムは18日、インスタントカメラ「チェキ」用のフィルムを増産すると発表した。神奈川県の工場に約50億円を投じ、2026年秋以降の生産能力を、25年度から約1割引き上げる。若年層を中心に世界で需要が伸びており、安定供給体制を整える。

神奈川県南足柄市の生産拠点で能力増強する。今回投資する設備は26年春から順次稼働し、26年秋以降にフル稼働する。

同社はこれまでも継続的に生産能力を引き上げている。22年には約20億円、23年には約45億円の投資を発表しており、直近の累計投資額は約115億円にのぼる。22年度と比べると、26年秋以降の生産能力は5割増える計算だ。

チェキは1998年に発売され、24年度末までに累計販売台数が1億台を超えた。年間売上高は1500億円を上回り、うち9割を海外で稼ぐ。

富士フイルムは「チェキ」のラインアップを増やしている

若年層が消費のけん引役で、スマートフォンでは味わえないレトロな風合いや、撮った写真を友人とすぐ共有できる楽しみ方が支持を受けている。富士フイルムは写真に自分好みにエフェクトを変えられる高級機種を投入し、ラインアップを増やすことでユーザーの裾野を広げている。

最近ではプロスポーツやライブイベントなどとコラボした、BtoB(事業者向け)のビジネスにも力を入れる。自分の「推し」の選手やアイドルなどのテンプレートと自分の写真を印刷できる、といったサービスだ。

チェキは富士フイルムの業績のけん引役になっている。26年3月期のチェキを含む写真関連事業の営業利益は1370億円の見通しで、調整前の連結営業利益の4割を稼ぐ。

チェキのフィルムは高い生産技術が求められる。1枚に見えるフィルムは18の層で構成される。競合が参入する障壁になっている。

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