日中経済協会と経団連、日本商工会議所は12月31日、2026年1月に予定していた3団体による財界訪中団の北京訪問を延期すると発表した。中国政府指導部との面会を要請していたが、中国側と調整がつかなかった。高市早苗首相の台湾有事を巡る発言で日中関係が悪化する中、経済交流にも影響が広がっている。
財界訪中団の訪問延期は、尖閣諸島の国有化を受けて中国国内で反日デモが広がった12年9月以来。この時は翌年3月に訪中が実現した。新型コロナウイルスの感染が拡大した20~22年度以外は毎年訪中しており、25年2月は何立峰副首相と面会していた。
3団体は「国家指導者会見をはじめ、中国政府機関との十分な交流を行うことが困難な状況」と現状を説明し、訪中しても「有意義な成果が得られないと判断した」としている。再訪中の時期は未定という。
今回は経団連の筒井義信会長と、日本商工会議所の小林健会頭を最高顧問、日中経済協会の進藤孝生会長を団長とし、大手企業幹部など約230人が参加予定だった。国家発展改革委員会や商務省など経済官庁との意見交換や北京市内の先進企業の訪問のほか、一部団員は医療産業や新たな自由貿易港の拠点として注目される海南島も視察する方針だった。
経団連の筒井会長は12月23日の定例記者会見で訪中の見通しについて「調整中と理解しているが、見通しは必ずしも明るくないと聞いている。政治的に難しい局面にあるからこそ、あらゆるレベルにおける幅広い分野での対話を粘り強く継続していくことに尽きる」と述べていた。【北京・松倉佑輔】
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