
【ヒューストン=赤木俊介】米格安航空会社(LCC)のサウスウエスト航空は2026年から座席から体がはみ出てしまう乗客に対し、追加で座席券の購入を義務付ける。体格が大きい乗客への事実上の追加料金となり、仕組みの導入は航空業界でもめずらしい。
サウスウエストはホームページに「隣の座席に(体が)はみ出ててしまう乗客」は26年1月27日から搭乗前に座席券を追加でもう1席購入する必要があると記載した。
同社は乗客が搭乗時に先着順で好きな座席に座れる自由席の仕組みを採用するユニークな航空会社として知られる。だが近年では収益力が低迷し、株主から収益性向上のため事業モデルの見直しを迫られている。26年1月に指定席制に移行するのに合わせ、体の大きい人に追加料金を求める。
同社が運航する航空機の座席幅は15.5〜17.8インチ(約39〜45センチメートル)。米空軍などが18〜65歳の米国人を対象に実施した1997〜2002年の調査によると、着席時の腰の幅は男性が平均14.8インチ、女性が平均16.2インチだった。
米疾病対策センター(CDC)の調査によると、20歳以上の米国人の4割以上が肥満で増加傾向にある。多くの利用者に追加料金が必要になる可能性がある。
追加料金を求めるのはアクティビスト(物言う株主)の影響もある。サウスウエストは収益低迷が続いており、米ヘッジファンドのエリオット・インベストメント・マネジメントは事業戦略の見直しを求めてきた。
経営理念に「従業員第一主義」を掲げてきたが、25年2月には同社初となる人員削減を発表した。代名詞だった自由席制度も廃止し、追加料金や払い戻しのルールを厳しくするなど事業モデルの大きな転換を迫られている。
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