
東京エレクトロンが3割出資する半導体商社の東京エレクトロンデバイスが事業の多角化を進めている。徳重敦之社長兼最高経営責任者(CEO)は、市況に左右されやすい商社事業にとどまらず「ITシステムや自社ブランドのウエハー検査装置で収益性を向上させる」と話した。
――半導体市況の見通しは。
「産業機器向けは過剰在庫からの調整が長く続き、低調だった。顧客の中国投資が少し減速しているのも一因だ。2025年後半に少し回復の兆しが出てきたため、26年以降からゆっくり立ち上がると期待している」
「人工知能(AI)向けの半導体は大手テック企業が半導体メーカーに直接発注しているため、(AIブームが)商社である当社の直接のプラスになるわけではない。生成AIの普及を見込み、海外の新たなITシステムやセキュリティー製品をいち早く学ぶため、人を送り込んできた。顧客がAIを導入する際の支援サービスが主戦場になる。日本は製造業とAIを両方理解している人材が少ないため商機がある」
――市況が不安定ななかでどう利益を伸ばしますか。
「中期経営計画では30年3月期までに売上高3000億〜3500億円、売上高経常利益率で8%以上(24年度は5.3%)を目指している。半導体販売で培った製造業を中心とした顧客網を生かし、ITシステムの販売で収益性を上げていく。自社ブランドで半導体関連装置にも参入しており、3つ目の柱としたい」
――メーカー機能を強化していくのでしょうか。
「収益性向上のため自社技術で製品をブラックボックス化していく必要がある。10年くらいかけて準備し、23年にはウエハー検査装置の事業を買収した。主にウエハーメーカー向けに、微細な傷や異物などがないか検査する装置を出荷している」
「半導体は最終組み立てでチップを積層する3D化などが進み、複雑になっている。将来的には半導体メーカー向けにも検査装置を提供したい。米国の大手半導体装置メーカーが競合になるが、彼らが経営資源を大きく振り向けている分野ではない。競合が比較的少ないニッチな検査分野を狙っていく」
(聞き手は薬文江)
とくしげ・あつし 1986年(昭61年)甲南大経済学部卒、東京エレクトロンに入社。2007年に東京エレクトロンデバイス取締役。15年に社長、24年から現職。兵庫県出身
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