旧香川県立体育館再生委員会は記者会見を開いた(26日、高松市)

香川県が解体する方針の旧香川県立体育館(高松市)について、民間での利活用を目指す「旧香川県立体育館再生委員会」は26日に高松市内で記者会見を開いた。建物をホテルとして再生する事業計画案に不動産開発のStaple(ステイプル、広島県尾道市)が参画を表明した。

ステイプルは東京都や広島県など全国7地域で宿泊施設やレストランの運営、地域開発事業を手がける。オンラインで会見に参加した岡雄大代表は「世界中から愛され、地方創生の象徴でもある建物をホテルにする事業に是が非でも参加したい。安全性を担保しながら再生できる」と話した。

再生委によると、保存・再生を求める直筆署名が26日時点で1800筆、オンライン署名4万筆超が集まった。会見には丹下健三氏の子息である丹下憲孝・TANGE建築都市設計会長が「この建物が再生されれば、近代建築再利用のお手本になる」とビデオメッセージを寄せた。

旧県立体育館は丹下健三氏の設計で「船の体育館」として親しまれてきたが、県は老朽化や耐震性などを理由に解体を決めた。再生委が7月に民間資金による利活用案を県に提案したが、県は具体性に欠けるとして、解体手続きを進めている。

再生委は県が懸念する地震発生時の建物崩壊や液状化による沈下の可能性は低いとして、協議に応じるよう再度求めた。協議に応じない場合、解体工事の差し止めを求める仮処分申請や、住民監査請求などの手段を取る可能性も明らかにした。

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