
【ラスベガス=桜木浩己、ヒューストン=大平祐嗣】独シーメンスは6日、米エヌビディアのデジタル設計技術と自社の製造業向けソフトを連携すると発表した。仮想空間を使うことで製品設計のシミュレーションが容易になり、開発速度の向上につながる。次世代エネルギーとして期待がかかる核融合発電の新興に技術を提供する。
6日に米ラスベガスで一般公開を開始した米テクノロジー見本市「CES」でシーメンスのローランド・ブッシュ最高経営責任者(CEO)兼社長が基調講演に登壇して発表した。
シーメンスは「デジタルツイン」と呼ばれ、現実世界の情報を仮想空間で実現する技術を企業向けに提供している。主に製造業の生産設備の効率的な設計に役立つ。同社はエヌビディアの高速半導体を生かしたデジタルツイン基盤「オムニバース」ともデータ共有で連携し、シミュレーションをより高速で運用できるようにする。
デジタルツインの技術は核融合発電の設備を開発する米スタートアップのコモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)に提供する。CFSは累計約30億ドル(約4700億円)の資金を調達する有望な核融合企業として知られる。

基調講演でシーメンスのブッシュ氏は「核融合が実現すれば、電力不足という課題を解決できる可能性がある」と述べた。CFSのボブ・マンガードCEOも登壇し、報道陣の取材に対し「数年の手動による実験を、仮想空間で数週間に短縮できる」と話した。
CFSは2027年に米東部マサチューセッツ州で実証設備を稼働し、30年代前半には商用の発電所を南部バージニア州で建設する見通しだ。デジタルツインの活用を通じて核融合の実用化を早める。
米国では人工知能(AI)の普及に伴いデータセンターが増えている。現在の米国の電力網では伸びるデータセンターの電力需要を賄いきれず、発電所の新設が相次ぐ。「夢の発電」と言われる核融合がエネルギー不足を補うための技術として期待されている。
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