VLPセラピューティクスは体の免疫反応を活性化しがんを治療するmRNA技術を開発する

米VLPセラピューティクス(メリーランド州)は27日、メッセンジャーRNA(mRNA)技術を使ったがん免疫療法の臨床試験(治験)を米国で始めたと発表した。同社は米国でワクチン研究に従事した赤畑渉最高経営責任者(CEO)らが設立した創薬スタートアップだ。日本人研究者が中心となった新たなmRNA技術によるがん治療の早期実用化を目指す。

VLPセラピューティクスは赤畑氏が米国立衛生研究所(NIH)在籍時代に開発したワクチン技術をもとに米国で2013年に設立された。日本でも日本医療研究開発機構(AMED)やワクチン開発の司令塔である先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の支援を受けて次世代のmRNAワクチンの開発を進めている。

今回、VLPセラピューティクスは、米スタンフォード大学医学部と連携し、mRNA技術を応用した頭頸部(とうけいぶ)がんの治験を始めた。体内の免疫反応を活性化させて、がん細胞を攻撃する仕組みで、まず少数の人に投与して安全性を確かめる。今後、有効性を確かめる治験に進む考えで、2030年代の実用化を目指している。

mRNA技術をがん治療に応用する治療薬開発は世界で活発化しており、新型コロナウイルスワクチンの開発で脚光を集めた米モデルナや独ビオンテックも開発を進めている。モデルナは米メルクと皮膚がんの一種「悪性黒色腫(メラノーマ)」で、ビオンテックは米ジェネンテックと膵臓(すいぞう)がんで、それぞれ治験をスタート。世界で開発競争が本格化している。

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