
経営再建中の近江鉄道(滋賀県彦根市)は27日、県東部を走る鉄道線の全線で2026年3月にJR西日本の交通系ICカード「ICOCA(イコカ)」を導入すると発表した。彦根など計4駅で接続するJRとの乗り換えが便利になる。24年4月の再建策「上下分離方式」への移行後、浮いた経費で整備する利便性向上の第1弾となる。
鉄道線の全33駅に入場機を設け、電車を降りる際には車内に設置する出場機にカードをタッチする。ICOCAのほか相互利用できるSuica(スイカ)など9種類のICカードも利用できる。
近江鉄道の鉄道線は沿線住民の減少で採算が悪化し、上下分離方式に移行した。線路など施設(下部)を切り離し、県と沿線10市町でつくる近江鉄道線管理機構(彦根市)に移すことで膨大な保守コストから解放された。運行(上部)に専念するとともに、浮いた経費で利用者の利便性を高める努力が求められていた。
近江鉄道は西武グループの関西における重要な拠点の一つと位置づけられ、バス、タクシーのほか、不動産事業も手がけている。上下分離方式への移行では、公共交通の維持に熱心な滋賀県の三日月大造知事が主導的な役割を担った。分離後の25年3月期決算で鉄道事業の営業損益は31期ぶりの黒字に転換した。
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