日銀が8日に発表した1月の地域経済報告(さくらリポート)は、トランプ米政権の関税強化策による影響で「一部に弱めの動き」がみられたとしつつ、世界的な人工知能(AI)需要の高まりから堅調に推移したとし、全国9地域全てで景気判断を据え置いた。ただ、日銀が重視する賃上げについては、積極的な企業が多い一方、中小企業を中心に慎重な声も出ている。
米国の関税強化策による不確実性が低下するなか、「(AIに不可欠な)半導体関連の投資が活発化」(業務用機械)しているなどと報告された。各地域の景気に関しては一部に弱めの動きがみられるとしながらも、全地域で「緩やかに回復」または「持ち直し」基調が続いているとした。
個人消費については、株高を背景に百貨店では高額品が堅調な一方、食料品高からスーパーなどでは消費者の根強い節約志向が目立つ。「調達数量を拡大して仕入れ単価を引き下げ、値上げ幅を抑制する」(スーパー)動きも消費者に身近な業種にあり、人件費や仕入れコストの上昇分を価格に転嫁することに慎重な意見もみられた。
2026年度の賃上げについては、企業収益が全体として高水準で人手不足が深刻なことから、25年度と同程度の賃上げを見込む企業が多いが、中小企業を中心に賃上げ幅を縮小せざるを得ないとの意見も出た。日銀は昨年12月に追加利上げをしており、中小企業にとっては価格転嫁の遅れや金利上昇などが負担になりやすい。
会議後に記者会見した正木一博大阪支店長は「中小零細では賃上げが難しいとの声もあり、ばらつきがある。賃金や価格設定行動を注意深く点検したい」と話した。【古屋敷尚子】
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