
JR九州は27日、熊本県大津町の豊肥線肥後大津駅前に賃貸オフィスビルを開発すると発表した。台湾積体電路製造(TSMC)の第1工場などが集積するセミコンテクノパーク(同県菊陽町、合志市)から車で約8分に位置し、半導体関連企業などの入居を想定する。12月に着工し、2027年1月の完成を予定する。
名称は「(仮称)JR肥後大津ビル」。JR九州が16年の熊本地震後に復興事務所として使用していた社有地に建設する。7階建てで、延べ床面積は約9200平方メートル。半導体産業が集積する菊陽町や合志市、大津町エリアでは最大規模になるという。投資額は非公表。

事業継続計画(BCP)対策で72時間稼働可能な非常用発電機を備え、ICカードによるセキュリティーシステムや共用ラウンジも設ける。周辺工場などへ移動しやすいよう駐車場を61台分用意する。JR九州の担当者は「東京や大阪のオフィスとも遜色のないハイグレードオフィスで、このエリアでは初になるだろう」と話す。
肥後大津駅では34年度末に熊本空港へと延びる「アクセス鉄道」が開業予定で、ターミナル駅としての発展も見込まれる。同社の古宮洋二社長は大津町との共同記者会見で「10年前では考えられなかったが、肥後大津駅は先々大切な場所になる。セミコンテクノパーク関係の企業を中心にリーシングしていきたい」と述べた。

あわせて同日、大津町は肥後大津駅周辺のまちづくり基本計画を発表した。具体的には公共用地を活用し、オフィスや商業施設、ホテルを誘致する。北口と南口をつなぐ連絡通路を設けて回遊性を高め、バスやタクシーが乗り入れできる駅前広場や立体駐車場を整備する。
ベンチや屋台、キッチンカーなどの憩いの場を用意するほか、アクセス鉄道の開通にあわせて道路機能も強化する。金田英樹町長は「オフィスの誘致などを進め、(半導体産業集積や産学連携を図る)県の『サイエンスパーク構想』の一翼を担っていきたい」と話した。
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