TGCしずおかで電気プランを発表したU-POWER(10日、静岡県静岡市)

U-NEXT HOLDINGS(HD)傘下で新電力のU-POWER(東京・品川)が国内最大級のファッションイベント「東京ガールズコレクション(TGC)」と組んで若者を開拓する。美容家電の特典などを付け、個人向けに再生可能エネルギー由来の電気プランの販売を始めた。イベントとも連動し、環境への感度が高いとされる若者に訴求する。

イベントの電気、100%再エネで

再生エネ電気は発電コストが高く、一般の電気と比べて高くなることが多い。発電方法は電気の使い勝手には関係せず、脱炭素目標などを掲げる企業とは違って、個人への再生エネ電気の販売はハードルが高い。

U-POWERは10日に静岡市内で開かれたファッションイベント「TGCしずおか」向けに再生エネ発電などで生み出した環境価値をつけた電気を供給。イベントで使う電気を実質100%再生エネにした。

同日のステージでは会場が実質再生エネ100%の電気で運営されていることと、2025年12月に発売した個人向けの再生エネ電気プランをアピールした。5月に東京で開催するTGCでも再生エネ電気の供給を予定する。

販売を始めた電気プランは東京電力管内で1キロワット時あたり29.80円で、単身世帯の場合の基本料金は約600円。そこに電気を実質再生エネ100%にするための環境価値の費用として月に550円加わる。U-POWERが提供する再生エネ10%の電気プランより1割ほど高い。

U-POWERが電力を供給するTGCしずおか2026(10日、静岡県静岡市)

10代〜30代の女性に照準を合わせた特典をつけるほか、若者の環境意識に訴求して、販売の拡大を目指す。

契約者には電気の供給を始めて半年後に美容サロンのチケットや化粧品などを送る。その後も、年に1度、美容家電などの景品が当たるキャンペーンなどの特典を継続する。新規での登録に限り動画配信サービス「U-NEXT」が2カ月間無料で視聴できるなど、U-NEXTHDのグループ商材を生かした特典も取り入れる。

U-POWERの高橋信太郎社長は「自身も使う電気も『きれい』になれる、という点を意識した」とプラン設計の狙いを説明する。26年中に1万件の契約を目指す。

博報堂が25年4月に発表した消費者の意識調査では、「日々の暮らしのなかで脱炭素を意識して行動している」と回答した比率は15〜19歳では約50%で、40代や50代と比べて約13ポイントほど高かった。WTOKYOの青木充最高執行責任者(COO)は「若者の脱炭素意識は他の世代と比べて高まっている」とみる。

「脱炭素に関心」「安い方がいい」

静岡でのイベントに参加した30代の女性は「自分の家で脱炭素に取り組めるなら検討の余地がある」と話した。別の同世代の女性は「豪華な特典がついていれば多少高くても契約したい」と語った。20代女性からは「実質再生エネ電気についてよくわからないから行動できない」という意見や「電気は安い方がいい」といった率直な声も上がった。

U-POWERはこれまでもWTOKYOのように個人との接点を多く持つ企業と提携して電気を販売してきた。25年2月にはフリーマーケットアプリ大手のメルカリと組み家庭向けにインターネットと電気のセット販売を始めた。メルカリのアプリで不要なものを売りネットや電気の使用料の支払いをアプリ内で完結できるサービスを提供している。

法人向けでは中小企業の脱炭素需要を狙って全国で再生エネ100%の電気を販売する。25年の8月の販売電力量は24年同月から4割以上増えた。個人向けでも再生エネプランの販売に力を入れ、「再生エネに強い新電力」を目指す。

政府は発電における再生エネの拡大を目指している。国内で脱炭素を進めるためには、消費電力量の約3割を占める家庭部門での再生エネの利用拡大も欠かせない。

(松川佳奈)

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